■ご挨拶
南区選出の中島拓哉でございます。わたくしは地域政党「京都党」京都市会議員団を代表致しまして、ただ今より、質問を行います。
2月5日の京都市長選挙において、門川市長が再選されました。門川市政の4年間とマニフェストが市民に評価された結果であります。しかしながら、市長選の得票の46.1%は門川市政に対する不信任であり、なおかつ、市長選の投票率は過去20年間の中で最も低い、36.7%でありました。大阪市では40年ぶりに投票率が60%を超えております。門川市長にはこの投票率の低さにも向き合い、しがらみを断ち切った市政の抜本的改革を期待しております。我々、地域政党「京都党」は、唯一、市長選において市長の応援も対立候補の応援も致しませんでした。だからこそ、我々は、党利党略や「しがらみ」を超えて、是々非々で議会運営に望んで参ります。
■議会と市長の信頼関係
二元代表制についてお尋ね致します。議会が行政のチェック機能を果たせずに、全国各地の自治体が財政難に陥っております。そのため、市民からは行政のチェック機能すら果たせない議会など不要であるとの声も高まるなど、全国的に地方自治における議会のあり方が問われております。この背景には、二元代表制の一翼を担うはずの議会が、残念ながら、脇役的存在となっている現状がございます。これはもちろん、二元代表制と言いながら、首長側に権限がより多く付与されている制度的課題もございますが、議会も、地域主権の推進の中で、長かった脇役としての地位を脱却して、代表機能の回復・拡充を図るべく、議会改革に取り組んでおります。議会は討論の場というその長所を遺憾なく発揮して、住民参加を積極的に取り込みながら、地位の向上に努めるべきであります。
京都市会においても、市会改革推進委員会において議会改革を審議しております。議会の組織・権限などについては、地方自治法の改正が必要とされる所もございますが、現行法制下において、可能な限りの改革に取り組んでおります。しかし、この市会改革は議会だけでは達成ができません。つまり、二元代表制の一翼を担う市長が住民の代表たる議会に対して真摯に向き合う姿勢がなければなりません。
そもそも、議会と市長は車の両輪であると表現されることがあります。しかし、行政を車に喩えるならば、車のブレーキやアクセル、ときにハンドルとなるのが議会であります。一部では、市長選において市長を支持した会派を「市長与党」、対立候補を支持した会派を「市長野党」と呼んでいるようであります。しかし、議員内閣制度ならともかく、二元代表制度においては、議会と市長は2つの市民の代表として、一定の緊張関係を保ち、市政に取り組まなければなりません。
奇しくも、本日の京都新聞の朝刊にもございましたが、自民党の伊吹文明衆議員は、以前、「地方議員の仕事は行政の監視。いわば全員が野党であり、与党はおかしい」との趣旨の発言をされていたようであります。だからこそ、我々、地域政党「京都党」は二元代表制において「市長与党」でも「市長野党」でもなく、あるのは市民の味方である、すなわち「市民与党」として、是々非々で議会運営に望んで参ります。我々は、状況に応じては、条例案を自ら提出することで市政のハンドルを握り、時には停滞する行財政改革にアクセルをかけて参ります。そこで、お尋ね致します。
二元代表制における「与党」、「野党」の位置づけ、および二元代表制のあり方のご所見をお聞かせください。
■議会軽視
このように市長と議会は高い緊張関係を保ち、市政運営に努めなければなりません。しかし、この二元代表制のあり方の根幹を揺るがす問題が昨年の11月に発生致しました。それは、技能労務職、所謂、現業職の新規採用の再開であります。
ご承知のように、平成18年、度重なる職員の不祥事を受け、市民の行政に対する怒りは頂点に達しました。この市民の怒りを受け、当時の桝本市長と議会は連日に渡り議論を交わし、「信頼回復と再生のための抜本改革大綱」を策定し、「技能労務職採用の凍結」、「技能労務職員の50%削減の段階的実施」などが定められました。しかしながら、この市民の怒りを受け策定され、市民との約束とも言える「改革大綱」に示されている「技能労務職採用の凍結」が突如として解除されました。昨年の11月17日の午後、議会に対し、採用の再開が報告されました。一方でその翌朝、市役所前では自治労と市職労の双方が配布していた広報誌において、現業職の採用の再開が発表されておりました。また、12月に配布予定の市民新聞の原稿にも現業職の採用試験が記載され、すでに印刷されていたと聞いております。現業職の採用再開は議会で議論することなく、その結果のみが議会に報告されております。このような市民の代表である議会ではなく、組合との交渉で、議会で取り決めた事項を解除する対応は、まさに議会軽視であると言わざるを得ません。
なおかつ、採用再開の報告資料として、委員会に提出された資料にも事実関係を誤認識させる記述がございます。当初、委員会で配布された資料には環境政策局の現業職の職員数は、672名であると報告されておりました。しかしながら、京都党が資料要求した結果、この数字は作業長以上と再任用者を含まない数字であると分かりました。そのため、環境政策局の現業職の職員総数は672名ではなく860名であり、その削減幅は紙面で報告されている32.7%ではなく、24.4%の削減となります。このように事実関係を誤認識される記載にも我々は行政に対する不信感を高めざるを得ません。もちろん、作業長は管理職ではありますが、現場の作業に従事していることから、現業職の職員数の内数に含めるべきであります。
今回のように議会と議論を重ね策定した計画を議会との議論なしに変更をするようでは、議会の位置づけがより脇役的存在へと追いやられます。このままでは、例えば、全ての計画を放棄し、優先雇用や現業職の大量採用を実施したとしても、議会は見過ごすことしかできません。そのため、このような状況が続けば、議会としては地方自治法第96条第2項に基づく議決事件の追加等の強化を検討しなければなりません。そこでお尋ね致します。
門川市長はこの議会軽視とも言える対応をどのようにお考えか、また、そもそも議決事項ではない改革大綱などの計画に対する市政における位置づけをお聞かせください。
■現業職の方向性
次に現業職の方向性についてお尋ね致します。本市は今回の現業職の採用再開の理由として「緊急時への対応の備え」、「職場のモチベーションの向上」、「技術の継承」、「技能労務職の再構築への目処が立ったこと」などを説明されております。しかしながら、各々の理由にも疑問がございます。
1つめの「緊急時への対応の備え」であります。東日本大震災時に民間に委託されているごみ収集業務に支障が発生したため、災害等の緊急対応に備え、ごみ収集業務はあくまで一部は直轄業務で維持すると説明されております。しかしながら、地域政党「京都党」と包括的連携を組む、地域政党「いわて」に当時の状況を伺ったところ、災害時にごみ収集業務が混乱したのは、民間に委託していたからではなく、電気やガソリンが供給不足に陥っていたからと言うことでありました。緊急対応時に民間では融通が利く対応が出来ないため、あくまでも市の直轄業務で実施する判断は誠に民間軽視の発想であります。
2つめの「職場へのモチベーションの向上」であります。たしかに、何年も後輩が職場に誕生しない状況は、モチベーションの向上には貢献しません。しかしながら、厳しい財政状況の中、人材が不足していないにも関わらず、採用の再開を認めるべきではありません。職場のモチベーションが低下しているならば、後輩のあるなしに関わらず職務を全うさせるプロ意識こそ、求められます。
3つめの「技術の継承」であります。ごみ収集業務のどこに技術継承の必要があるのか理解に苦しみます。新聞紙面において、労働組合の幹部は「ごみ袋を持ったときに、その重さをはかるには熟練の技術が必要である」と苦し紛れの主張をされておりますが、これは、技術ではなく経験であり、「技術の継承」にはあたらないのではないでしょうか。
4つめの「技能労務職の再構築の目処が立ったこと」であります。先ほど申し上げた通り、委員会資料の環境政策局の職員数には作業長以上と再任用者が含まれておりません。そのため、その削減幅は32.7%ではなく24.4%であります。このようにまだまだ再構築の目処が立ったとは言える状況ではありません。なおかつ、市議会とごみ収集業務等の民間委託のあり方を十分に議論していない中に、一部直営化を前提とした採用を認めることはできません。
さらに、この改革大綱が制定された平成18年8月31日以降も市の職員の懲戒処分は109件、懲戒免職は19件とまだまだ不祥事は根絶されておりません。昨年度だけでも、「覚醒剤取締法違反」が2件、「強制わいせつ致傷」が1件、職場で同僚を包丁で威嚇するなど「職場内秩序びん乱」が3件発生し、本年度においても「万引き」、「キャッシュカードの詐取」、「貸金業法違反」、「中国人との偽装結婚」など不祥事がまだまだ発生しております。このように、職場環境が改善され市民の信頼を回復したと言える状況ではございません。しかしながら、門川市長はこの現業職の新規採用の再開を強硬突破されました。これは市民に対する裏切りであると言わざるを得ません。
この現業職の採用の再開は「試行」的実施であると説明されております。しかしながら、「試行」的実施にも関わらず、正職員としてひとたび採用すれば、公務員の性質上、約40年間は雇用を継続させなければなりません。1月に実施された採用試験でも20代を内定したと聞いております。このように「試行」的実施であるにも関わらず、40年間の雇用継続が必要な正職員の採用は、将来を見据えないまさに短絡的な施策ではないでしょうか。
全国の自治体で現業職の見直しが進んでおります。民間水準と比較し、高い給与水準がそのひとつの背景でございます。本市においても14の現業職の職種がございます。地域政党「京都党」も現業職の業務は、門川マニフェストに記載されている通り、「民間にできることは民間に」を基本原則とすべきと考えております。しかし、「民間にできることは民間に」と言いながら、ごみ収集業務の民間委託の割合が50%とされているのには疑問を抱いております。そこでお尋ね致します
今後の現業職の職種ごとの方向性について、お聞かせください。
■東北支援
最後に、東北支援についての要望を申し上げます。言うまでもなく、昨年8月の五山の送り火騒動が東日本大震災の風評被害を加速度的に広げました。本市はこの責任を負う必要があります。5月定例会において2億円の予算で東日本大震災の被災者の100人の雇用を確保する補正予算が組まれております。しかしながら、雇用のミスマッチもあり、この事業で職を得た被災者は29人(平成23年度1月19日現在)と、当初の計画値を大きく下回っております。なおかつ、平成24年度の予算においても、被災地支援の主だった施策は「被災者向け住宅情報センター運営」の3000万円に留まり、非常に手薄と言わざるを得ません。
震災の復興には10年を要すと言われておりますが、震災からはまだ1年しか経過しておりません。被災地支援はまだまだ必要であります。本市は風評被害の震源地として、今後更なる被災地支援に取り組むべきであります。地域政党「京都党」は地域政党「いわて」と連携をし、義援金の送付やトラックの寄贈、震災ボランティアの参加等の支援を進めております。
東北では被災地でない内陸部の観光業も大きなダメージを受けております。昨年、奥州平泉が世界遺産に登録されました。本市にも多数の世界遺産がございますので、奥州平泉と連携した観光施策等の実施を要望致します。
また、被災地支援の観点から職員が被災地へ派遣されておりますが、被災地復興の取り組みを学ぶ「研修」の観点からも若手職員を中心とした職員派遣を要望致します。
以上をもちまして,わたくしの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。