大学のまち京都。京都市内には京都大学をはじめ39校の大学が立地。しかし、南区にだけ大学が立地していない。南区にはかつて東寺の境内に種智院大学が立地していた。種智院大学は1200年前に空海が開設した日本最古の私立学校を起源に持つ。しかし、この種智院大学は平成11年に伏見区に移転。そのため、今では伝統ある南区に大学がひとつも立地していないのだ。少子高齢化が進む中に新規の大学の誘致は難しい。しかしながら、南区に大学を誘致できる話が持ち上がった。
京都市立芸術大学は明治13年に創立された京都府画学校を起源に持ち、昭和25年に大学として創立。当初のキャンパスは東山区の今熊野と左京区の聖護院にあったが、キャンパスの統合などを理由に、昭和55年に西京区の大枝沓掛町にキャンパスを移転し、現在に至っている。しかしながら、開学130年記念に策定された「整備・改革基本計画」において、キャンパスの街中への全面移転の方針が打ち出されたのだ。
現在のキャンパスは豊かな自然環境の中にあるものの、施設の老朽化がすすみ、最新の教育環境の整備のみならず、耐震やバリアフリーなどの課題も生じている。なにより、交通のアクセスが悪く、美術館等での芸術鑑賞のみならず、他大学や入洛した著名な芸術家との交流に制約が生じ、創造的な文化活動の障害となっているのだ。なおかつ、キャンパス内での展覧会や演奏会の来場者数を十分に延ばせず、教育研究成果を市民に十分に還元できていない課題もある。
芸術の世界でもグローバル化が進む。必要なのは交通のアクセスなのだ。南区は京都市内で最も交通のアクセスがよい。だからこそ、世界的な大企業も数多く立地している。なおかつ、土地もある。本年3月に廃校した京都駅近くの小学校の跡地の活用なども検討できる。市立芸大が南区に移転すれば、地域住民との交流のみならず、立地企業との交流などで、京都市全体の活性化が期待できる。南区は多様性に富んだまちである。何よりもこの多様性こそ、豊かな芸術活動の源泉となるのだ。アートで南区を活性化させたい。